昔から良い音を出そうと躍起になっていた気がします。

音源を何度も聴きながらフレーズを覚えて
弾いてみる

でも何か違う。

他の人が弾いているのを聴いても

何か違う。

オリジナル・ミュージシャンと音の佇まいが違う。

個性の違いというより音の格が違う。

自分の個性よりそちらの方が上だと思っているので
何をやっても無駄だと思ってしまう。
うん、自己愛が足りないなぁ。

でも同時にその違いが分かる自分を大切にしたい
と思った。それも自分への信頼だと思う。

そんな、こんなで20年、30年と様々な要素を検証してやってきましたが
ちょっとずつその駄目だった理由が分かってくるものです。
使えていなかった自分自身に気づかされます。

ようやく自分の音が駄目から下手だなぁ位に思えるようになってきました。
駄目は上手につながらない道、下手は上手に通じる道です。

そうして手に入れたものは価値がある。
人様が耳を傾けてくださる。皆様にも何か価値があるようだ。
そんな風に思っているとそこに慢心も生じてくる。
かつてそうはなりたくないと思っていた人と同じ自分がここにいることに気づかされます。

そういった事でその人の目線が分かりようやく理解できるようになれました。
またその人とは違う可能性を歩んでいこうという気持ちを改めて確認することが出来ました。

良い音に惹かれて歩んできた道は暗く失敗や恥だらけの道ですが
思い返せば夢中で楽しい道でした。
同時にその道は私の道であって皆様にとってはそれぞれの歩みの風景の一部
に過ぎない事を忘れないようにしないといけないと思います。

レッスンの中で皆様にお伝えしたいことは
自分の中に凄い力があるよという事です。
この情報も通り過ぎる景色の一部として味わっていただけたら充分なのだと思います。
必要に応じてそれぞれがどうにか会得していくのだと信頼しています。