当然、人にもモノにも歴史はあるのですが

一般的な家計図のように直線的に物事が続いてきているわけではなく

一つのものに対して様々な事柄があらゆる方向から結びついて

物事は成立しています。

家計図は一つの切り取り方

まったく違う切り取り方も可能であります。

歴史は常に不可解で、なぜそれが生まれたかを明確に説明することは出来ません。

原因があるから結果があるともいえるし

結果に対して原因を探しているだけともいえるし

ただ事の起こりが連綿と続いているだけともいえます。

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今回は弦楽器について見ていきたいと思います。

 

複数のリード(振動板)を空気の力で震わせて様々な音程を出す

ハーモニカやパイプオルガン、アコーディオン等は

同じ系統の楽器といえます。

一つのリードで一本の菅の長さを変えて音程を変化させると

リコーダー等の木管楽器などになります。

両方を持つ楽器のバグパイプは

通奏音とメロディーを奏でることが出来ます。

それぞれの楽器は空気を送り込むために呼吸を使ったり鞴(ふいご)を

使ったり様々な方法が使われています。

 

ギター等の弦楽器は弓が原型といわれています。

紀元前3千年以上前のことです。

弓の弦のテンションを変化させて音程を変化させたりしていました。

弾(はじ)くだけでなく弓で弾(ひ)いたりもしたと思います。

現代だとブラジルのビリンバウ等にその姿を見ることが出来ます。

 

面白いことに現代人の僕らはこの原始的な音を電子楽器的な音と感じることも出来ます。

 

弓に共鳴体をつけて弦を増やしていくと琴(リラ、ライヤー)の類になっていきます。

この弦によって発音し共鳴胴をにより増幅させる仕組みの楽器は

太古より現代まで様々に生み出されていきます。

 

ギターに近い形の先祖としてはリュートとという楽器です。

今のマンドリンのボディーの様な洋梨形の丸みを持ったボディーが特徴です。

中国琵琶にも似ていますね。

中世~バロック時代に活躍しました。

右手の使い方が現代のギター奏法と少し違います。

何を求めて奏法が変化してきたのかを推察していくのも面白いです。

 

このリュートの変り種?としましては

バロック・テオルボと言う楽器もあります。

通奏低音とメロディーを奏でられます。

ヘラクレス・カブトムシのような何とも楽しい形状です。

当然ナイロン弦は無い時代ですから天然のガット(腸)弦を使用していたと思います。

弦交換やチューニングにはさぞ時間を使ったと思います。

この楽器も数百年程度は活躍したそうです。

今のフォークギターより長い期間です。

 

中世(6~15世紀)に使われた弦楽器には

Wikipedia「中世西洋音楽」より引用 リンクはWikipediaへ

 

などがあるようです。

ざっくり見てみるとどの楽器も弓奏、打奏、撥奏のバリエーションがあったようです。

これ以外にも多くの弦楽器が生まれては消えていった事も想像できます。

 

バロック(17-18世紀)より戻りますがルネッサンス(14世紀-16世紀)には

ギターの直接の先祖ともいえるボディー形状の楽器が生まれています。

ビウエラという楽器でクビれたボディーと6コースの弦を持ちます。

木組みの構造で音量を増幅する方法を見つける以前の

古楽器は複弦をつけることで音量を稼いでいました。

この楽器もそうです。

この後様々な変遷もあったと思いますが19世紀に現代のクラシックギターが生まれます。

ベートーヴェンやモーツアルトは18~19世紀です。

その頃にフォルテピアノ、メトロノームも生まれています。

ヴァイオリンはもう少し前ですが

古典派といわれる彼らの豊かな音楽やロマン派以降の音楽が生まれた一つの要因としても

またいつの時代も人間の感性の発露と様々な楽器や道具の発明・進化が共にあったと推察するのは容易だと思います。

 

今回、様々な動画を引用させていただきましたが

それぞれの楽器が今日でも演奏され続けているという事実も興味深いですね。

世界は本当に広くて常に様々なことが行われています。

文化・社会とは最新と古(いにしえ)のものが同時に存在している状態です。

そしてこの数千年僕ら自身の構造は変わっていない部分が多いです。

しかし身の回りにある道具や環境などで僕ら自身の使い方が変わってきます。

それによって生み出されるものが変わってきます。

今までも常にそうでした、それは今後も変わらないことです。

 

今日はここまで。

まだ続きます。