前回に引き続き舞台はアメリカです。

ここからは気を抜くとどれだけでも脱線していってしまいそうです。

わき道が大好きでもあります。

 

フォークギター(便宜上この表現にします)が生まれ

カントリー(正しくはヒルビリーかな)等で使われていきます。

そんな中で酒場の客にかき消されない為に等

もっと大きい音の必要が生まれてきました。

 

ちなみにアメリカ最初の発電所は1881年ですのでこの頃には

電気はかなり普及していると同時に未来に向かっていく

道具として一般的になっています。

音を大きくしたいという要望は電力で解決!!

というのは先端的でもあり当然の考え方であったと思われます。

 

最初のエレクトリック・ギターは諸説あってわかりません。

1900年代初頭から30年代はシンプルな発想で様々なものが

個人レベルで各地で生み出されていったようです。

 

楽器として特徴的に普及したのはスティールギターです。

スティールギターはアコギ・リゾネーターギター等を横に寝かして

スライド・バーで演奏していたものを

扱いやすいように箱型に状を変えていきました。

スティールギターはハワイアンなどで使われています。

ハワイがアメリカ領になったのは1900年です。

その影響でアメリカではハワイアン・ミュージックがブームになったようです。

楽器はハワイからアメリカに伝わったのかその逆なのかはわかりませんが

ハワイアンの音楽的なニュアンスはアメリカ音楽に

多大な影響を及ぼしています。

 

話を戻します。

音の増幅を求める現場のニーズから

スティールギターもエレクトリック化されていきました。

こういった流れの中で1932年に台頭してきたメーカーが

Ro-Pat-Inコーポレーションです。

後にリッケンバッカー社となります

 

そしてフォークギターのようなギターにピックアップを搭載した

フルアコ(スパニッシュギター)が生まれます。

この流れでエピフォンやギブソンが台頭してきます。

このスパニシュ・ギターはカントリーばかりでなく

当時急速的に進化を始めたジャズでも活躍します。

GIBSON初のエレキギターES-150は1935年に生み出されました。

ESという型番はエレクトリック・スパニッシュ・ギターから来ています。

特徴的な形のピックアプはチャーリー・クリスチャン モデルというもので

僕のテレキャス・タイプのギターに搭載していますので教室で見てください。

 

そしてアメリカに一人の天才ミュージシャンが現れます。

マール・トラヴィス

トラヴィス・ピッキング(ギャロップ・ピッキング)を完成させて

後のミュージシャンに多大なる影響を与えました。

今、聴いても物凄い技術です。

そんな彼がギターの手ほどきを受けた人の子ども達がエヴァリー・ブラザーズです。

エヴァリー・ブラザーズは斬新な作曲とハーモニーでビートルズに

多大な影響を与えています。

 

いくらでも脱線できそうなのが困りますが話を戻します。

このマール・トラヴィスがビグスビー(現在はトレモロ・アームで有名な会社です)と

開発したのが最初のソリッド・ギターといわれています。1948年のことです。

 

ビグスビーさんはとても優秀な製作者で美しい楽器を作っています。

注目すべきはヘッドのデザインと機能。

長いギターの歴史の中で始めて片側6連ペグが採用されました。

シルエットはヴァイオリンのヘッドを横から見たデザインです。

これらは明らかにフェンダーのヘッドデザインの元になっています。

 

そしてボディーはフルアコのシルエットです

これは後のレスポールと同じですね。

 

弦はボディーの裏から通して張力とボディーの振動に貢献しています。

このアイデアもフェンダー・ギターに採用されています。

このギターから始まったソリッドギターの歴史はミュージシャン・製作者を刺激します。

 

一年後1949年にレオ・フェンダーがブロードキャスター(今のテレキャスター)を

生み出します。

彼は凝った作りより修理しやすさ等の実用性を重視しました。

それによってとても洗練されたデザインと機能美をもったギターとなっています。

 

そしてまた大きくエレキギターを発展させたミュージシャン

レス・ポール

自作のソリッドギターのアイデアを商品化するように

メーカーに提案します。

そういった経緯から生まれたギターは彼の名前から

レス・ポールと名づけられました。1952年です。

演奏の動画も見ていただきたいのですが……昔流れていたこのCM。

このノイズが無く素直でキレイな音が出るギターは

逆にキレイに歪む(ひずむ)ということで後々に

製作意図と違った方向でも愛されるようになって行きます。

 

近代社会への発展スピードの加速もあったと思いますが

現場のニーズに製作者が答えていく形で物凄い勢いで楽器が変化しています。

伝統的な技法を持った製作者のみならず

新しい発想を形にしていける他業種からの参入も増えています。

 

そして1950年代にRock’n Rollが生まれ。

それに刺激され、このように生まれてきた楽器を手にした若者達が1960年代に世界を席巻します。

 

1960年代に音楽市場が爆発的に拡大する前夜は

楽器製作が物凄い勢いで飛躍していった時代です。

ミュージシャンと製作者を両親に持ちながら音楽・楽器は生み出され

それもまた連綿と繰り返しています。

 

またこうして生まれた楽器たちは製作者の意図とは違った形で使われたり。

思いがけない出来事でその生命を存えていったりもします。

そこには理由があるともいえますが、やはり無いともいえます。

こういった点も様々な切り取り方や推察が出来るので惹かれる方も多いのかもしれません

 

かなりざっくりですが如何でしでしょうか?

この辺りはマニアックな知識を持っている方も多いので

かなり不足も感じると思いますが大きな流れや出てくる事柄を

楽しんでいただければと思います。

 

あと1回続きます。